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2021/5/12

インプラント埋入後の痛みについて

今回は「インプラントの埋入後の痛みについて」話をしようと思います。
私の経験といろんな先生方からの相談とかで、インプラントを入れたのだけど痛みが出ている、という話を聞いたり、私の経験したことについて、話をしようと思います。

インプラントを埋入してから、約1週間とか2週間経っても、麻酔が切れたら痛みが出だして、痛みが取れないということが本当に稀にあります。
それは何故か、その原因として考えることについてお話をします。
1番目に気をつけなければ、いけないのは、下歯槽神経などの神経圧迫です。
2番目に抜糸から日が浅くて、残留嚢胞のある場合があります。
そして3番目に縫合糸。縫合糸が粘膜や舌にあたって、それによって痛いということがあます。
4番目として隣在歯の知覚過敏。これが出ることがあります。
5番目、抜歯即時埋入の後、特に抜歯即時埋入の後に、骨の露出によって起きるドライソケットによるものがあります。
それ以外にも、自分として経験したことがないもしれません。
以上の5つの事について、今回お話をしようと思います。

感覚の鈍麻

まず痛みが出た患者さんがインプラント後に痛みが出たとおっしゃって来られた場合には、一番最初に確認しないといけないことは、感覚の鈍麻です。
まず口唇であったりとか、頬の感覚の鈍麻なのかどうか、それの有無を必ずまず先に確認してください。
もしこの感覚鈍麻があれば、CTやレントゲンでフィクスチャーの先端の精査をします。
少しでも下歯槽管に、ちょっとでも、かかっているとか、もしオトガイ孔付近で怪しいなと思ったら、麻酔をして、そのフィクスチャーを少し緩めるなり、撤去することを考えてください。
本当はこの感覚鈍麻っていうのは、あってはいけないですけど、正直自分は今まで一回もそれはないです。
あったとしたら、自分の経験ではその感覚鈍麻があったのは8番です。
智歯抜歯の時に2・3件あります。
それで少し圧迫して、その時にはどういう対処するかって言うと、その時行ったのは、とりあえず鎮痛剤を定期的に飲んでいただいて、あとはもうメチコバールとかのビタミンB12を1日3回、その時はだいたい1ヵ月処方しました。
切断も下歯槽神経を切断したわけではないので、それである程度痛みが引いてきた経験があります。
他の先生からの相談においても、そういうことがあるので、その時にはやはり、創傷とまではいかなくて、体圧迫しているって事があるので、インプラントを少し緩めるなり撤去するなどして、メチコバールとかを処方するように伝えています。
それで「だいたい痛みが治まってきたよ」とご連絡をいただいています。
その次なんですけど、次に調べることは、それと前の感覚鈍麻についてですけど、それについて言えばやっぱり埋入時に相当気をつけて、神経に近い部位というのは必ずあるので、そこについて、慎重に埋入することが必要です。
ちょっと話が前後しましたけども、次に行きます。

創部の状態

次に調べなければいけないのが創部の状態です。
インプラントを縫合した創部の状態が、糸がほどけたりとか、歯肉の退縮がないかどうか、それによって糸がほどけて歯槽骨が露出していないかどうか、明らかにその時点でこっちが露出していて、明らかにドライソケットと分かれば、露出部の周囲の粘膜にレーザーを当てて出血を促して血餅を作っていくか、もしくはペリオクリンとかの薬剤を使います。
露出部への塗布を頻繁に行っていけば、ある程度10日から2週間とかで痛みはどんどん引いていきます。
また智歯を抜歯して、ドライソケットの経験がおありの先生であれば、それについては、もうわかってらっしゃることだと思うので、通常通りのドライソケットの処置で大丈夫だと思います。

経過日数

その次に調べることは、抜歯をしてから埋入までの経過日数です。
自院で抜歯したものであれば、抜歯時の嚢胞の有無とか、嚢胞の大きさを記録に残しておけば、その時点でかなり大きな嚢胞があったということで、残留嚢胞とかの可能性も考えられるから、その確認をしてください。
前のカルテを見返して、自院で抜いている時には、嚢胞がどれぐらいあったのか、その時のレントゲンを見る、記録を見るとかして、嚢胞の残留の方があるかもしれない可能性が考えられるのでそのことをちゃんと確認してください。
この場合でも、鎮痛剤を投薬すれば、ある程度は1週間もしくは2週間で引いてきますので、それで様子を見てください。
それでもやっぱり痛みが続くのであれば、麻酔をしてインプラントの埋入をしたものですけども、それを撤去する事も考えてください。
撤去した場合には、中を掻爬をして、嚢胞の有無、残留の方があるのかどうかの確認をすることを必ずしてください。
掻爬をして、そこにテルプラグ等のコラーゲンを入れて、2ヶ月経ってから再埋入を考えてもいいと思います。
残留嚢胞がある場合には、撤去した後にポロポロと取れてくることがあるのでやっぱりこれだったんだっていうことは、確認できると思います。
この嚢胞の有無というのは、埋入する時、残留嚢胞があったかどうか、あるのかどうかっというのは、CT・レントゲンの骨質がちょっとやばそうかな、この患者さんの骨質は結構硬そうかなというのは、まず見極めます。
埋入時に、その時の埋入のトルクとか切削時のトルクとか、急にすっと抜けるような軽い切削時のトルクを感じたりとか、あとはもう掻爬した時のインプラントを入れるぞ、インプラント窩を形成し終わった後に清掃を必ずするんですけど、その時の掻爬で嚢胞があると思う時には完全にそれを全部掻爬しつくしてください。
そしてもし、骨量が足りないとなった時には、インプラントの埋入を諦めてそこにGBRなり ソケットプリザベーションを行ってください。
そしてまた1ヶ月もしくは2ヶ月してインプラントを埋入するという計画を慎重に行っていけば、トラブルは回避できると思います。

埋入部位の隣在歯

次に調べること、これはたまにあるのですけど、埋入部位の隣在歯について徹底的に調べて下さい。
インプラント埋入時の切開において、1回切開するわけですから、隣在歯の根面が露出することがたまにあります。
粘膜面はある程度治っているんだけど、隣在歯に冷痛があるということでも、やっぱり患者さんは痛みがある、という風に感じて、インプラントの原因だというふうに思うことがあるんですね。
直接そのインプラントの痛みじゃなくても、その場合には、知覚過敏っていうことを患者さんに説明して、きちんと説明した上でHYS処置を行って経過をみてください。
日によって、かなり痛みがなくなる事がありますので、隣在歯を見るという事も大事なことですから、それを行ってください。

縫合糸

最後に、縫合糸の先端が粘膜とか舌に当たっていないかを調べてみてください。
これは結構あります。
特にナイロン糸を使って縫合している場合には、先端が結構痛いんですね、あと口腔系の粘膜がせり上がってくる患者さんにはそのケースが、かなりあるんですね。
口腔底の粘膜は、縫合糸の先端に当たって傷がついたり、口内炎とまだは行かなくても、傷がついて痛いのが、そこについても感覚として、患者様はインプラントが痛いって、前に入れた所が痛いと感じることがありますので、その時にはちゃんと見極めて、当たっているところがないかどうかを確認してください。
この自分も経験があるのですけど、自分自身がインプラントを埋入されて、結構痛いもんですから、それもそういう場合には、やっぱりインプラントの縫合後の糸の先端を少し長ければ、切ってあげるとか、あともう一つ手があってナイロン糸であれば、そこに少し軽くレーザーを当てることによって、先端がとがっているのが、ちょっと丸みをおびます。
それによって、当たって痛いっていうのも、軽減されることがあるので、そういうことやってください。
粘膜面もある程度治癒して、もう一週間待たずに取れるとなれば、抜糸をしても構わないと思います。

一番気をつけないといけないこと

今回の話で、非常にインプラントの痛みは、いろいろありますが、まず一番気をつけないといけないことは、インプラントを埋入する時で、埋入する前に必ずその骨質があり、嚢胞なりどうなのか精査する必要があります。
インプラントをした後の記録を必ず取っといてください。
骨質がどうだったのか、インプラントの切削をする時のトルクがどうだったのかも、
正確に記入しておけば、何かあった時のトラブルの対処にも必ず役に立ちますので、そのことを頭に入れて記録を心がけてください。

歯科医師にとってかなりストレス

このインプラントの痛みは、歯科医師にとってかなりストレスになります。
インプラントが原因じゃないだろうかとか、そういうこともストレスになるので、本当にインプランを埋入するっていうのは、慎重に行って、きちんと記録を記載しておくことをお勧めします。
今回の話は以上です。
これからインプラントを始めようという先生方は、しっかり勉強してインプラントをどういうふうに埋入するべきか、解剖学的なことも含めて、きちんと勉強して頑張っていきましょう。

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